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散骨は違法ではないの?

散骨を考え始めた方から、いちばん最初に聞かれるのが「これは法律的に大丈夫なのか」という質問です。結論から申し上げると、散骨は禁止されていません。ただし「どこでも自由に撒いてよい」わけでもありません。何が根拠になっていて、どこに線が引かれているのか。順を追って整理します。

散骨を禁じる法律はない。しかし「許可する法律」もない

日本で埋葬について定めているのは「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」です。この法律が想定しているのは墓地への埋葬と納骨堂への収蔵であり、散骨についての条文はありません。禁止する条文がない一方で、明確に認める条文もない。この「書かれていない」状態が、多くの方が感じる不安の正体です。

もうひとつよく心配されるのが、刑法190条の遺骨遺棄罪です。これについては1991年、法務省が「葬送のための祭祀として、節度をもって行われる限り遺骨遺棄罪にはあたらない」との見解を示したと報じられ、日本で散骨が広まる転機になりました。

ただし、これは正式な通達として出されたものではありません。そして「節度をもって」が具体的に何を指すのかは、長いあいだ事業者それぞれの判断に委ねられてきました。

 

2021年、国が「節度」の中身を示した

その状況が変わったのが2021年です。同年3月31日、厚生労働省が「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」を公表しました。第1項には、散骨が関係者の宗教感情を害してはならないことが目的として明記されています。

事業者に求められているのは、次の7点です。

– 法令の遵守
– 散骨を行う場所
– 粉骨すること
– 関係者への配慮
– 自然環境への配慮
– 文書による契約
– 安全の確保

なかでも大きいのが【粉骨】です。このガイドラインで、粉骨が葬送行為の一部としてはじめて明確に位置づけられました。遺骨とわかる形のまま撒けば、それは葬送ではなく遺棄と受け取られてしまいます。業界団体では、遺骨とわからない程度、およそ1〜2mmまで粉末化することを基準としています。

場所にも条件があります。日本海洋散骨協会のガイドラインでは、陸地から1海里以上離れた海洋上とされ、河川・湖沼・ダム・干潟・河口、そして海岸や防波堤は対象外です。漁場や養殖場、航路を避けることも定められています。加えて、自治体によっては条例で散骨を制限している地域があり、実施前の確認が欠かせません。

 

いちばん危ないのは「自分で撒く」こと

費用を抑えたいと考え、ご自身で海に撒こうとされる方がいらっしゃいます。ただ、トラブルの多くは実はここで起きています。

粉骨が不十分なまま撒いてしまった。手軽だからと海岸や防波堤から撒いてしまった。漁業関係者との間で問題になった。あとから条例の制限区域だと分かった——いずれも、知らなかったで済ませられる話ではありません。

金属・ビニール・プラスチック・ガラスなど、自然に還らないものを一緒に流すことも認められていません。献花についても、花束をそのまま海に入れるのではなく、花びらにしてお供えするといった配慮が求められます。

散骨は「法律で禁じられていないからできること」ではなく、決められた作法の中で行う、ひとつの葬送のかたちです。その作法を守れる形で送り出すことが、故人にとっても、あとに残るご家族にとっても、いちばん安心できる方法だと考えています。

 

まとめ

– 散骨を禁じる法律はないが、認める法律もない。刑法上は「節度をもって行われる限り」問題にならないとされてきた
– 2021年3月、厚生労働省がガイドラインを公表し、粉骨・場所・配慮・契約・安全といった「節度」の中身が示された
– 自分で撒くと、粉骨・場所・条例・環境配慮のどこかで基準を外れやすい

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